U&U AI

おぼえる

覚えているのではなく、毎回いっしょに送っている。

会話は毎回、まっさらな窓から始まる。前回のことが効いているように見えるのは、書いたものを、毎回いっしょに送り直しているから。だから効き目を決めているのは文章の巧さではなく、何が毎回載っていて、何が載っていないか。
ここは道具の側の仕組みの話 ── 「覚えておいて」と頼んだものが、どこに置かれ、いつ読み直され、いつ消えるか。根拠は全部、提供元のドキュメントにある。

先に、三つ

窓には、もう何か入っている。

4つの前に、3つだけ。どれも提供元のドキュメントに書いてある。

  • 会話は毎回、まっさらな窓から始まる

    公式にそう書いてある ──「セッションはそれぞれ、新しい文脈の窓から始まる」。前回を引き継ぐ道は二つだけ ── 自分が書く指示のファイルと、AI が自分で書き足していくメモ。どちらも、会話の頭に読み込まれる。

    公式「セッションはそれぞれ、まっさらな文脈の窓から始まる」── code.claude.com / How Claude remembers your project

  • 最初の一文を打つ前に、もう大半が埋まっている

    システムの指示、指示のファイル、メモ、使えるスキルの名前、繋いだ道具の名前 ── あなたが何か打つ前に、全部そこに載っている。公式の解説はこう書いている ──「あなたのプロンプトは、すでに載っているものに比べて小さい」。

    公式起動時に何が載るかを1件ずつ並べた解説 ── code.claude.com / Explore the context window

  • どちらも「文脈」であって、設定ではない

    指示のファイルもメモも、読まれて解釈されるもので、強制ではない ── 公式が「文脈であって、強制される設定ではない」と明記している。必ず効かせたいものは別の層に置くことになる(→ 任せ方の2番)。

    公式「どちらも文脈として扱われる。強制される設定ではない」── code.claude.com / How Claude remembers your project

ここから ── 見る場所

1 ── 置き場所

同じ「覚えておいて」でも、置いた場所で寿命が違う

窓が一杯になると、会話は要約に置き換えられる ── 途中のやりとりは、そこで消える。一方でファイルに書いたものとメモは、ディスクから読み直される。だから「さっき言ったのに」が起きるのは、忘れたからではなく会話の中にしか置いていなかったから。

⚠️ 全部のファイルが読み直されるわけではない。一番上に置いた指示のファイルは戻ってくるが、下の階層に置いたものや、特定のファイルを触った時だけ効く規則は、要約されて消える(次にそのファイルを読んだ時に、また載る)── これも公式に書いてある。

模式置いた場所が三つ。畳まれた時に何が残るかで、置き場所の意味が決まる。

逆の手

「この作業の間はずっと 〇〇でお願いします」 と会話の中で頼む

その場では効く。だが畳まれた時にいちばん先に消えるのが、この置き方。

合う手

「〇〇を指示のファイルに 書いておいて」と頼む

同じ一文でも、ファイルに落ちていれば読み直される。頼み方ではなく、置き場所を指定している。

公式畳まれた後に何が戻り、何が戻らないかの一覧 ── code.claude.com / What survives compaction

公式「消えたなら、それは会話の中でだけ言われたものだった」── code.claude.com / How Claude remembers your project

2 ── 長さ

長い指示書ほど、守られにくくなる

公式が目安を書いている ──「1ファイル200行以下を目安に。長いファイルは文脈をより多く食い、従う度合いを下げる」。足すほど効く、ではない。効かないから書き足す、を繰り返すと、効かなくなる方向へ進む。

⚠️ 分けても、減らない。別ファイルに切り出して読み込ませる書き方は整理には効くが、起動時に全部読み込まれるので文脈は減らないと公式に明記されている。減らしたいなら、要る時だけ載る形(スキル、あるいは特定のファイルを触った時だけ効く規則)へ移すしかない。

模式目盛りは置いていない ── 比率も窓の大きさも、モデルと設定で変わる。向き(伸ばせば余白が縮む・分けても縮まない)だけが出典に対応している。

公式「200行以下を目安に。長いほど文脈を食い、従う度合いが下がる」/「切り出しても起動時に読み込まれるので文脈は減らない」── code.claude.com / Write effective instructions

3 ── 載り方

常時載るものと、要る時だけ載るものがある。

足せるものは、機能ではなく載り方で分かれている ── 指示のファイルは毎回、全文。スキルは説明の一行だけが常時載り、本文は使う時。繋いだ道具は名前だけが常時載り、詳しい仕様は要る時。決まった瞬間に必ず走る仕掛け(フック)はゼロ

⚠️ ゼロなのは、走る前まで。仕掛けが何かを返せば、その中身は文脈に入る。⚠️ 逆に「常時載る」側は、使わなかった日も同じだけ場所を取る ── 置いたことを忘れても、毎回請求されている。

模式長さは量ではなく載るタイミングを表している。濃い側が起動時、点線側が使う時。

公式機能ごとの「いつ載るか・何が載るか・文脈の費用」の表 ── code.claude.com / Understand context costs

4 ── 分け方

別の窓に出せば、こちらは汚れない

大量に読ませる調べもの(何十ものファイル、長い一覧)は、別の窓を持った分身に投げられる。読んだ中身はあちらの窓に溜まり、戻ってくるのは結論だけ。こちらの窓は、その分きれいなまま残る。

⚠️ こちらのメモは、分身には載らない(公式)。だから分身に渡したい前提は、頼む文の中に書くことになる ── 「知っているはず」で通らない。

模式読んだ量はあちらに溜まり、戻るのは結論だけ。窓を分けることが、そのまま量を分けている。

公式分身は自分の文脈で走り、要約だけを返す ── code.claude.com / Extend Claude Code

よく聞くけれど

ここに無いものは、裏が取れていない

記憶まわりでよく出てくる言い回し。どれも上の4つには入れていない。

よく見る言い回し上に入れていない理由
「使うほど自分に馴染んでいく」自分でメモを書き足す仕組みは実在し、既定で入っている。ただしその機械の中だけで、別の機械やクラウドには行かない。中身は自分で読めるし、消せる
「たくさん書けば、それだけ従う」公式が逆を書いている ── 長いほど文脈を食い、従う度合いが下がる
「何行くらいがちょうどいい?」公式の目安(1ファイル200行以下)以上のことは、ここでは言えない。効き目の測定を見つけられなかった
「一度言えば、ずっと覚えている」会話の中だけで言ったことは、畳まれた時点で要約に置き換わる。残したいならファイルに落とす(1番)
  • 4つに共通しているのは、書き方ではなく、置き場所の話だということ。同じ一文が、置いた場所によって毎回効いたり、一度で消えたりする。
  • ここには設定ファイルの書式や項目名を書いていない。そこは版ごとに変わる。いま何が載っているかは、使っている道具の側で確かめられる ── 探す言葉は contextmemory
  • 必ず効かせたい一本は、この頁の話ではない ── 解釈されない層に置く(→ 任せ方の2番)。