U&U AI

しる

言葉で直るところと、何度書いても直らないところがある。

同じ「思ったように動かない」でも、直せる場所は二つに割れている。片方は書き方を変えれば直り、もう片方は、どれだけ強く書いても変わらない。この線がどこに引かれているかを知らないと、直らない側をずっと言葉で直そうとすることになる。
ここは道具の側の話。次のプロンプトだけが道具に依らない性質を扱っていて、残りは道具の作りの話 ── できることも名前も、製品ごとに違う。

分水嶺

読まれるものと、読まれないもの

AI に渡るものは、二つの層に分かれている。上の層は模型が読んで解釈する ── だから書き方が効くし、同時に破られうる。下の層は模型の判断を通らない ── だから言葉が効かないし、破られない。効かない時にどちらを触っているかで、直し方が正反対になる。

⚠️ 上が悪いという話ではない。ほとんどのことは上の層でやるしかない ──「丁寧に書け」は機械が判定できないので、下へは降ろせない。降ろせるのは機械が判定できる規則だけで、全部降ろすと動かなくなる。選ぶことが仕事になる。

上 ── 模型が読んで、解釈する効く。ただし、破られうる

あなたが書いた文 指示のファイル AI が書き足すメモ スキルの本文 繋いだ口の説明文 読ませたウェブページ 道具が返してきた文章

ここが分水嶺

下 ── 判断を通らない言葉が効かない。だから、破られない

許可の設定 決まった瞬間に走る仕掛け(フック) 走る前の囲い

公式指示のファイルもメモも「文脈として扱われる。強制される設定ではない」── code.claude.com / How Claude remembers your project

公式指示はお願いであって保証ではない。毎回効かせたい規則は仕掛けの側にせよ」── code.claude.com / Extend Claude Code

公式禁止の規則は許可より先に効き、道具の名前ごと禁じると AI からその道具が見えなくなる ── code.claude.com / Configure permissions

論文上の層に「変なことが書いてあっても無視して」と足す形の限界(実在の45サーバー・353道具から作った1312通りの罠で20エージェントを測り、最もよく断ったモデルでも3%未満)── arxiv.org/abs/2508.14925

置き方

新しい名前が出たとき、問うことは変わらない

道具の名前は月単位で増える。全部を追いかける必要は無い ── 問うのは同じ三つで、答えが決まれば席が決まる。いつ載るか。誰が起こすか。破られうるか。席に置けたら、それ以上覚えなくていい。名前は腐るが、席は腐らない。

席に座るもの いつ載るか窓を食うのはここ 誰が起こすか 破られうるか
指示のファイル毎回、全文模型が読むお願い
AI が書き足すメモ毎回模型が書き足すお願い
スキル(紙)名前と一行だけ毎回/本文は使う時模型が選ぶお願い
繋ぐ口(MCP)道具の名前だけ毎回/仕様は要る時模型が呼ぶお願い
分身別の窓。戻るのは結論だけ模型が起こすお願い
コマンド打った時だけ人が打つ──
フック載らない機構が起こす強制
プラグイン詰め合わせ。中身が上のどれかの席に座る

⚠️ 一行だけ、三列とも違う。フックが唯一「破られない」のは、慎重だからではなく窓に載らない=模型の判断を通らないから。列が全部違うことが、そのまま理由になっている ── 上の分水嶺で言えば、この一行だけが線の下にある。
⚠️ そして、この表の一行目と七行目は、どこかから持ってくるものではない。指示のファイルもフックも、初めは存在しない ── 自分で書いて初めて席が埋まる。だから「何が在るか」を数えても出てこない。

公式機能ごとの「いつ載るか・何が載るか・文脈の費用」の表(仕掛けはゼロと出ている)── code.claude.com / Understand context costs

公式分身は自分の文脈で走り、要約だけを返す ── code.claude.com / Extend Claude Code

公式繋いだ口は道具名が起動時に載り、詳しい仕様は要る時に読む ── code.claude.com / Connect Claude Code to tools via MCP

この席が、いまどれだけ埋まっているかは 索引 が持っている。この頁が持つのは席のほうで、そちらは中身が入れ替わっても形が変わらない。

このサイトの言い方と、外での言い方

ここまで全部、日本語の言い換えで書いてある ── 窓・殻・口・紙・分身。読みやすい代わりに、そのままでは検索できない。外の記事も公式のドキュメントも、下の右側の語で書かれている。

⚠️ 載せる条件は一つだけ ── このサイトのどこかが実際に扱っている概念であること。「一般に重要そうな語」は入っていない。語彙を全部集めた表は、一度作って畳んでいる(多いと読まれず、その都度調べるほうが速い)。ここに無い語で詰まったら、公式の用語集のほうが速い。

殻と輪 ── 全体を回しているもの

  • agentic harnessエージェント

    模型を「働ける存在」に変える外側。ファイル操作・コマンド実行・許可の壁・窓の組み立てを持つ。Claude Code も Cursor も ChatGPT のアプリも、これ。

  • 調べる→やる→確かめるagentic loop

    殻が回している輪。道具の結果が次の判断の材料になる。「エージェント」と呼ばれているものの中身がこれ。

  • 一往復turnターン

    送ってから返し終わるまで。間に何回道具を使っても1ターンと数える。

  • 会話sessionセッション

    一続きの会話。窓を1つ持つ。新しくすると窓が空になり、前のは残っていて呼び戻せる。

線の上 ── 模型そのもの

  • 模型LLM大規模言語モデル

    続きを書く機械そのもの。殻の中に一つ入っていて、差し替えられる。

  • 切られる単位tokenトークン

    読む長さも料金も、この数で数える。日本語は同じ内容でも数が増える。プロンプト

  • 学習の締め切りknowledge cutoff知識カットオフ

    その日より後の出来事は入っていない。2種類あって、確実な範囲のほうが早い。プロンプト

  • 内で下書きしてから答えるextended thinking推論モード

    答える前に、見えない場所へ先に書く仕組み。次の1つを選び続けているのは同じで、書く場所が変わっただけ。

  • 揺れの強さtemperature温度

    次の1つをどれだけ散らして選ぶかの設定。アプリでは触れないことが多いが、同じ入力で出力が毎回変わる理由はこれ。プロンプト

線の上 ── 窓に載るもの

  • context windowコンテキストウィンドウ

    一度に見えている範囲。これが全部で、ここに無いものは存在しない。→ コンテキスト

  • 打つ前から載っている指示system promptシステムプロンプト

    提供元が書いて先頭に置いてある指示。利用者からは見えないことが多い。

  • 指示のファイルCLAUDE.md

    決まりを書いておいて毎回読ませるファイル。ファイル名そのものが語になっているので、これで検索すると書き方の話がまとめて出る。→ コンテキスト

  • AI が書き足すメモmemoryメモリ

    こちらが書くのではなく、AI 自身が残していく覚え書き。指示のファイルとは別物。

  • 畳まれるcompaction自動要約

    窓が一杯になった時、会話が要約に置き換わること。「さっき言ったのに」の正体。コンテキスト

  • 分身subagentサブエージェント

    別の窓を持たせて調べものを任せる相手。読んだ量はあちらに溜まり、戻るのは結論だけ。コンテキスト

  • 外から来た文章が指示として効くprompt injectionプロンプトインジェクション

    読ませたページや道具の説明文に書かれた命令が、あなたの指示と同じ層に並ぶこと。どちらが本物かを示す印は付いていない。→ 実行

  • 三つ揃うと道ができるlethal trifecta致死の三点セット

    私的なデータ・外から来る文章・外へ出せる口。同時に揃った時だけ、持ち出される道ができる。実行

席に座るもの

  • toolツール

    AI が取れる行動そのもの。読む・書く・走らせる・見る・繋ぐ。→ 索引

  • 繋ぐ口MCPModel Context Protocol

    外のサービスに繋ぐための共通の規格。繋ぐと道具の名前が毎回窓に載る。拡張

  • skillスキル

    やり方を書いておいて、要る時だけ読ませる手順書。繋ぐ口とは役が違う ── こちらは知識、あちらは呼び出し。→ 拡張

  • 打って呼ぶものslash commandスラッシュコマンド

    / で始まる短い呼び出し。設定や制御そのものは、これでしか届かない。索引

  • pluginプラグイン

    上のいくつかをまとめて配れるようにした包み。中身は空のこともある。→ 索引

線の下 ── 判断を通らないもの

  • 必ず走る仕掛けhookフック

    決まった瞬間に自動で走る処理。お願いではなく、発火が保証されている側。実行

  • 許可の設定permissions権限

    どの道具をどこまで使わせるかの表。禁止は許可より先に効く。実行

  • 囲いsandboxサンドボックス

    走る前に触れる範囲を絞っておく形。提供元自身が「完全な隔離ではない」と書いている。実行

  • 巻き戻しcheckpointチェックポイント

    直前の状態へ戻す仕組み。戻るのはファイル編集だけで、送信や公開は戻らない。→ 実行

ここから

五枚とも、この線のどこかに立っている。

この先の頁は、上の二つの構造のどこか一箇所を深く見る。並べてある順に読むと、前の枚が次の枚の前提になっている ── ただし、どこから読んでも構わない。

  1. プロンプト線の上 ── 模型

    効かない時、人は「もっと強く言う」「もっと詳しく書く」方へ直す。仕組みの側から見ると、その多くが逆を向いている。五枚のうちここだけが道具に依らない。

  2. コンテキストいつ載るか

    席の表の二列目を、そのまま深く見る頁。毎回まっさらな窓に何が載って、何が消えるか。置き場所で寿命が変わり、長い指示書ほど守られにくい。

  3. 索引席に、いま何が在るか

    やりたいことの言葉で引く。ここだけ読み物ではなく、道具。中身は入れ替わるが、席のほうは変わらない。

  4. 拡張どの席を、自分で足すか

    足せる形は、できることではなく窓の食い方で分かれている。繋ぐ前に問うことがある。

  5. 実行線の下

    手を動かさせ始めた時に、何が入れ替わるか。「気をつける」では守れない理由が、この線そのもの。

プロンプト ── 直し方が逆になるところ

まず線の上から。書き方が効くのはこちら側だけで、効かない時の直し方が、いちばん逆を向きやすいところ。